先生方からの質問集|頻度★・危険度⚠

~ 士業の先生方のための実務Q&A

士業の先生方が直面する不動産売却の悩みに、私たちは実務者の視点からお応えします。
適正な売却、納得できる説明、そして透明な手続き。——それが私たちの使命です。

※ 本ページは、実際の相談内容をもとに順次追加しています。

の基準表

頻 度補 足
★★★★★極めて多い定番の質問。ほぼ必ず直面する実務課題
★★★★よくある類似例が頻繁に生じる。案件の中で日常的に遭遇
★★★標準的特定の場面や相談で比較的よくある
★★時々ある限定的だが、一定の割合で生じる
稀にある/専門的特殊案件、または限定的な状況下での論点

なお、頻度に関わりなく重要な判断材料となるものには、マークを3段階で付しています。

目次

A:先生の立場からの質問
1.破産管財人
2.成年後見人

C:売却形式に関する質問
1.R-auction®形式

A:先生の立場からの質問

※本項目の回答は、破産管財人の先生方からの情報提供や、売却実務の中で蓄積された事例をもとに整理しています。
当社は、破産管財人の先生方から不動産売却の媒介を受託する立場にあり、債権者との直接交渉を行うものではありません。
掲載している内容は、破産管財人の先生方が債権者対応を行う際の参考情報としてご活用いただく趣旨です。

弁護士の先生から|★★★ 
Q.債権者の内規が財団組入率の上限が仲介手数料との合計で売買金額の6%が上限です。良い案は、ありますか?
▽ 回答 ▽
A.こうした内規に対応する方法として、買取り形式による売却が実際の事例として存在します。

自社買取りであれば、仲介手数料が発生しないため、売買金額の全額を「財団組入」と債権者への配分に充てることが可能です。結果として、財団組入率を6%に設定する条件を形式的に充たすことができます。

加えて、本件では競売移行までの猶予が限られていたことも、買取り形式を選択した一因です。 債権者側も、競売に移行した場合との経済的合理性を比較したうえで、早期売却による回収を優先する判断に至ったと考えています。

なお、実際にこのような債権者内規に対応した詳細なデータは「別除権付き不動産の債権者対応集」にてご確認いただけます。
弁護士の先生から|★★
Q.債権者が求める解除料(いわゆるハンコ代)の相場はありますか?
▽ 回答 ▽
A.「相場がある」とは一概には言えません。

確かに、内規として「売買代金の1%」と明示する債権者も存在します。しかし実際の実務では、解除料は固定的な相場で決まっているわけではなく、以下のような要素で個別に決まることが多いのが現実です。

■ 実務上の判断要素
 ✓ 債権者ごとの内規(あれば参考にされる)
 ✓ 売買金額の大小
  → 小額な場合は1%以上、逆に高額なら1%未満に調整されることもある。
 ✓ 債権回収の全体感
  → 経済的合理性や物件の難易度とのバランス
 ✓ 後順位債権者の状況
  → 後順位の調整が影響するケースも

つまり、「一律の相場は存在しない」というのが正確な回答です。 実務では、個別の案件ごとに交渉・調整されるのが通常です。

なお、実際の債権者ごとの解除料のスタンスについては「別除権付き不動産の債権者対応集」にて詳細をご確認いただけます。
弁護士の先生から|★★ ⚠⚠⚠
Q.債権者が提示する売出し価格が市場価格と乖離しています。このようなことが起きる原因は何ですか?
▽ 回答 ▽
A.債権者が提示する価格が市場と乖離する主な原因は、「物件の内部状況に関する情報不足」にあります。

■ よくある原因
✓ 現地確認がされていない査定(机上査定)であることが多い。
✓ 減価要因(雨漏り・増築・違法利用など)が反映されていない。
✓ 所有者や入居者しか知り得ない情報が評価に反映されないまま査定されている。
✓ 債権回収の視点から、高めの価格設定が優先される傾向がある。

■ よくある失敗例
・高額な売出し価格のため、買主が見つからない。
・市場からの反応が悪いにもかかわらず、価格調整の根拠が乏しい。
・契約直前や売却後に瑕疵が発覚し、査定の信頼性が低下する。

■ 実務のよき一手
・「現況確認ヒアリング」の実施が効果的。
 → 所有者や入居者に対する聞き取りを行い、内部の減価要因(雨漏り・増築・変形利用など)を把握する。
 → 当社では、ヒアリング専用のアンケートフォームを提供し、管財人が直接確認できない場合でも情報取得が可能です。
・得られた事実を査定書に反映。
 → 査定価格に下方補正を加えることで、市場実勢を下回る査定が合理的に説明可能。
・「情報格差」を交渉材料として活用。
 → 債権者が提示する価格に対して、具体的な減価根拠を示し、合理的な反論が可能。

■ ポイントまとめ
✓ 情報不足 → 債権者査定が高めになりやすい。
✓ 現況ヒアリング → 内部情報を査定に反映。
✓ 減価根拠が明確 → 交渉の説得力が増す。

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司法書士の先生から|★★★★★ ⚠⚠⚠
Q.隣接者の方が購入したいと言われています。どのように対応するのがよいでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.隣接者が購入を希望される場合、物件の特性によって対応が異なります。

■ 【パターン①】他にも買手が現れると見込まれる場合
(例:マンション、一般的な住宅地、整形地など)
この場合、R-auction®(Web不動産入札)の利用が最も適切です。

 ✓ 隣接者との早期面談
  →購入資金の確認
  →成年後見人との契約の特殊性の説明
  →入札参加方法の説明
 ✓ 市場に開かれた売却機会を提供できる
 ✓ 開札結果=市場価格の根拠 → 家庭裁判所の売却許可もスムーズ

隣接者が最終的に落札するケースも多く、その場合でも「正当な価格で売却した」という説明責任が十分に果たせます。

■ 【パターン②】他の買手が事実上見込めない場合
(例:変形地、狭小地、再建築不可 など)
この場合、隣接者が唯一の買手と判断できるため、必ずしも入札は前提としません。
ただし、以下の対応が必要です。

 ✓ 隣接者との早期面談
  → 購入資金の確認
  → 成年後見人との契約の特殊性の説明
  → 購入の媒介契約書の締結 
 ✓ 査定書の取得は必須
  → 市場価格の妥当性を客観的に証明するため
  → 家庭裁判所の売却許可の判断資料とする
 ✓ 査定額と隣接者の希望金額が大きく乖離する場合は、調整や再交渉が必要

■ ポイント
・買手が見込める物件 → 入札形式が最適
・買手が事実上隣接者のみ → 査定書+個別交渉で対応

いずれも、家庭裁判所が成年後見人に求める価格の妥当性・手続きの透明性・公正・公平な売却を満たすことが前提となります。
司法書士の先生から|★★★
Q.他の先生は、入札で売却した場合にも査定の依頼をされていますか?
▽ 回答 ▽
A.ご依頼いただく先生は少数ですが、いらっしゃいます。

成年後見業務を継続的に行っている先生方へのインタビューでも、入札における査定書の要否は実務上意見が分かれるテーマであることが確認されています。

■ 【査定書は不要】と判断されるケース
✓ 複数の入札者から最高値を選ぶプロセスそのものが、市場価格の妥当性を十分に担保するという考え方です。
✓ このため、開札結果がそのまま裁判所への説明根拠になり、査定書は不要と判断されています。

■ 【査定書を依頼される】ケース
✓ 「自分は不動産の価格の専門家ではない」と考え、売却前の判断材料として査定書を活用する先生もいらっしゃいます。
✓ 特に、被後見人の生活費の確保など、「この金額で売却してよいのか」「適正な価格かどうか」を事前に確認するための参考資料として依頼されます。

■ 【家庭裁判所の運用】
弊社が確認している範囲では、R-auction®(Web不動産入札)で売却された事例において、家庭裁判所から査定書の提出を求められたケースは確認されていません。
入札形式そのものが、「市場価格を反映した公正な手続き」として、家庭裁判所に認識されていると推測されます。

■ ポイントまとめ
・入札結果=市場価格 → 裁判所への説明資料として十分とする考えが主流
・一方で、売却判断の事前材料として査定書を活用する先生も一定数存在
・家庭裁判所から査定書の提出を求められた事例は確認されていない
司法書士の先生から|★★ ⚠⚠⚠
Q.成年後見人として、今回が初めての不動産売却です。家庭裁判所に事前照会したところ、「不動産会社1社だけの買取り価格ではダメだ」と言われました。どうすればよいでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.成年後見業務における不動産売却では、一部の例外を除き、R-auction®(Web不動産入札)のご利用が基本となっています。 実際に、売却許可申請もスムーズに進んでいると、多くの先生方からお聞きしています。

スムーズに進む理由は、主に次の3点です。

 1.価格の妥当性の確保
  → 多数の検討者が集まることで、市場に基づく価格形成が行われる。
 2.手続きの透明性
  → LIVE開札を含む公開性の高い仕組みにより、取引の透明性が担保される。
 3.公正・公平な売却
  → 特定の相手に便宜を図ることができない仕組みで、売却機会の公平性が確保される。

この結果「成年被後見人のための公正で合理的な売却」として、家庭裁判所にも十分に説明可能な形が整います。
また、今回の売却物件については、地図や過去の取引データから判断しても、間違いなく複数の入札が見込めるエリアですので、安心してお進めいただけます。


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B:物件状況に関する質問

司法書士の先生から|★★★★ ⚠⚠⚠
Q.不動産会社2社の査定に1,000万円以上の差があります。なぜ、このような差が付くのでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.実務では決して珍しくない事例です。
その理由は、先生方や依頼者の「依頼の仕方」が、大きく影響しています。

たとえば「複数の不動産会社に査定を依頼し、最も高い査定を提示した会社に売却を依頼する」という進め方をすると、不動産会社は必然的に「まず受託を取るための査定」を行います。

つまり「売れる価格」ではなく「選ばれるための高い査定」が提示されやすい構造が生まれるのです。
一方で、慎重な会社は、減価要因や流通リスクを正確に織り込み、現実的な価格を提示します。

このような構造的な背景が、査定価格の大きな差として現れます。

実務上の留意点
近年、AI査定や自動査定の普及により、表面的には整った査定書が簡単に作成されるようになっています。

しかしその一方で、裁判所・債権者・相続人といった提出先が本当に求めている「根拠のある査定」との間に、明確なズレが生じるケースが急増しています。

つまり、査定は「価格を知るためのもの」ではなく、「提出先が納得する根拠を示すための資料」であるという認識が不可欠です。

そして、査定の質を決めるのは「どの不動産会社に依頼するか」よりも「どのような前提で依頼するか」です。

✔ この視点を持つことで、先生方の査定依頼は、受託のための査定ではなく「説明責任を果たすための査定」へと変わります。
弁護士の先生から|★★★★ ⚠⚠
Q.遺留分侵害額請求事件において、原告代理人が「国税庁の路線価」を不動産評価の根拠として提示しています。不動産仲介の実務者として、この根拠の妥当性についてどう考えますか?
▽ 回答 ▽
A.路線価は、売買価格の評価根拠としては適切ではありません。

路線価は、本来、相続税や贈与税などの「課税のための評価基準」であり、「実際の売買価格」を反映するものではありません。国税庁自身も、路線価と実勢価格は異なることを前提としています。

■ 実務的な理由
・路線価は公示地価の8割水準を基準としているため、常に市場価格より低い(または場合によっては異なる)
・立地条件や個別事情(接道、形状、再建築不可など)が価格に与える影響を十分に反映していない
市場の価格変動(上昇・下落)を即時には反映しない

■ 適切な評価方法
→ 相続時点の実勢価格に基づく査定書が必要です。
・取引事例の比較
・公的価格(公示地価・基準地価)との整合性
・現地の個別事情の反映

■ ポイントまとめ
✓ 路線価は課税用の指標 → 売買価格の根拠には不適。
✓ 不動産実務では、相続時点の実勢価格(市場価格)を基準とするのが一般的かつ妥当。
✓ トラブルを防ぐためにも、取引事例に基づく査定書の提出が推奨される。
税理士の先生から|★★ ⚠⚠
Q.不動産会社から「手付金は売買価格の5%が一般的」と言われましたが、本当にそうなのでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.実務上の標準は、むしろ「売買価格の10%」が一般的です。

ただし、ご相談のように売買金額が2億円規模以上の高額取引になると、金額の絶対額が大きくなりすぎるため、実務的な運用として5%程度に設定されるケースも少なくありません。
つまり、「5%が一般的」とは必ずしも正確ではなく、「金額次第で5%になることがある」というのが実際のところです。

■「5%」が提示される背景
高額取引の場合(目安:1億円超)、10%の手付では解除時の負担が過大になる。
→ そのため、5%程度に緩和する実務慣行が一部で存在する。
一方、売買金額が一般的な水準(例:3,000万〜8,000万)の場合、「10%が一般的」とされるのが業界通例。

■ 法的な位置づけと制限
手付金の額に、法的な上限や下限は基本的にない(契約自由の原則)。
ただし、宅地建物取引業者が売主の場合は、20%を超える手付金は不可(宅建業法39条)。
→ さらに、未完成物件では5%超、完成物件では10%超の手付金を受け取る場合には保全措置が必要(宅建業法41条・41条の2)。
また、手付は「解約手付」としての性質を必ず持つ(解除時の返還ルールあり)。

■ 実務上の目安
・〜1億円未満 売買価格の10%が一般的
・1億〜2億円前後 5〜10%の間で調整
・2億円以上 5%前後が多い
→ ただし、最終的には契約当事者の合意次第

■ 注意点
手付金の額は、「契約の拘束力」と「解除時の負担」のバランス設計。
少なすぎれば契約の本気度が疑われ、多すぎれば解除時のリスクが高くなる。
金額規模、買主・売主の意向、物件の流通性、他の契約条件(融資特約など)によって変動する。

■ 当社のスタンス
・「5%が一般的」というのは、高額取引の一部に見られる実務運用であり、普遍的な基準ではありません。
・売買価格が1億円未満の取引では、原則10%が標準的
・重要なのは、契約当事者がその金額設定に納得し、契約の拘束力と解除時の負担のバランスが合理的であるかどうかです。

■ 結論
「5%が一般的」という説明は正確ではなく、取引金額が大きい場合の一部実務に過ぎません
標準的な不動産売買では「10%が一般的」であり、金額が大きい場合に限って5%程度に緩和されることがあります。
→ 契約書に記載する際には、金額の規模と当事者の合意形成が最も重要です。
弁護士|57期 ★★★ ⚠⚠⚠
Q.建物を解体してからの方が高く売れるのでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.実務的には、「建物を解体すれば高く売れる」という考え方は成立しません。

むしろ、解体はコストとリスクの発生要因になる場合があります。
さらに、不動産売却においては、境界の確定が何よりも優先されるため、売主側が建物を解体する場合は、境界確定の完了が前提となります。

■ 建物を解体しても高く売れない理由
・不動産の価値は「土地の条件」と「市場の流動性」によって決まるため、建物があるか無いかは価格に直結しない。
・解体には100万円〜300万円程度以上のコストが掛かり、その費用が回収できる事例は極めて限定的。
・買主側は、自らの設計や建築プランを前提にするため、現況有姿の方がむしろ都合が良い。

■ 境界確定が優先される理由
建物は境界確認のための「物理的な手がかり」でもあります。
解体すると、以下の重要な判断材料が消失するリスクが生じます。

■ 境界判断の資料
・公図、分筆図、地積測量図 → 実測と公簿の整合確認が必要
・境界標識(境界石・杭・境界木)→ 解体作業で損壊する可能性あり
・家屋の土台、塀の位置 → 境界占有の歴史的証拠になる
・隣地とのフェンス・ブロック → 所有権の帰属確認が必要
・隣地の屋根・塀・バルコニーの越境 → 解体前に確認・記録が必須

■ 実務上の留意点
・境界標や現地の物理的な証拠が消失すると、隣地との紛争リスクが上がる。
・売主が所有する古い測量図と現況が不一致の場合も多いため、現地確認の精度が重要。
・売買契約書における「境界の明示義務」にも直結するため、解体のタイミングを誤ると説明責任が果たせなくなる。

■ 当社のスタンス
建物を解体するか否かの判断は、「高く売れるかどうか」ではなく、リスクとコストのバランスで決めるべき事項です。
境界が確定していない場合、解体は原則推奨しません。
解体する場合でも、境界確認・記録・証拠保全が完了していることが前提。
弊社では、境界の不明確さによる紛争リスクを防ぐ観点から、原則として「現況有姿」での売却を第一に提案しています。

■ 結論
「建物を解体すれば高く売れる」というのは、不動産実務上の誤解です。
それどころか、境界トラブルの発生、証拠消失、コスト負担という「解体リスク」が先行します。
売却に向けて検討すべき優先順位は、
境界の確認必要な調整解体の可否判断、という順序が基本です。
司法書士の先生から|★★★★★ ⚠⚠
Q.動産は撤去した方が高く売れるのでしょうか?
▽ 回答 ▽
A.動産を撤去した場合の価格差は、一般的に「撤去費用の範囲内」に収まることが多く、売却価格に大きな影響を与えるケースは少ないのが実情です。

ただし、他の先生方の実務報告では、「貴重品や鍵の確認」「物件管理のしやすさ」といった理由から、動産を事前に撤去するケースが多く見られます。

■ 実際の報告例
家財の処分と簡易清掃を行ったところ、現金数万円・貴金属・鍵5本が発見されました。これは撤去作業を実施したからこそ確認できたもので、「やっておいて良かった」との声もあります。

■ 補足:実務上のメリット
動産撤去の目的は、「売却価格の上昇」よりも、
 → 貴重品の確認
 → 鍵や書類の発見
 → 物件管理のしやすさ(風通し・防犯面)
こうした実務的な利点が大きいといえます。
状況や費用対効果を踏まえ、適宜ご判断いただくことをおすすめします。
弁護士の先生から|
Q.不動産業者は、アスベストの説明をいつ、どのように買主に行っていますか?
▽ 回答 ▽
A.不動産会社は、売買契約前の「重要事項説明」の場面で、アスベストに関する説明を行います。

その際の説明内容は、法律上も実務上も「現存するアスベストの有無が不明である場合を含めて、適切に説明すること」が求められています。
現行の重要事項説明では、以下の2つのパターンで説明が行われています。

■ ① アスベスト調査記録がない場合の重説記載例
「使用の有無は不明です。
アスベストを含有するアスベスト成形板は、平成16年10月の使用禁止まで広く使用されていたため、昭和〜平成初期に建築された本物件の一部にも使用されている可能性があります。
増改築や解体時には、飛散防止のための措置が必要となり、解体費用が通常より割高になる恐れがあります。
この費用は買主負担となることを、あらかじめご承知おきください。」

■ ② アスベスト調査記録がある場合の重説記載例
「別添の調査報告書のとおり、屋根材にアスベストを含有した建材(アスベスト成形板)が使用されています。
なお、吹付けアスベストの使用は確認されていません。
増改築や解体にあたっては、飛散防止措置が必要となるため、通常の解体工事費用より高額になる可能性があります。
解体費用等は買主の負担となります。」

■ 法令上の位置づけ
・令和3年4月改正 大気汚染防止法、および改正石綿障害予防規則の施行により、
→ すべての石綿含有建材に対し規制が拡大。
・令和4年4月からは、解体等工事の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務化。
→ この規制強化により、不動産取引時にも、将来的な解体・改修工事に関連するリスク説明が極めて重要な義務となっています。

■ 実務の標準的運用
・現時点で「調査記録がない」場合でも、使用の可能性がある建物については「不明」として必ず説明します。
・「分からないから説明しない」ではなく、「分からないという事実そのものを説明する」のが実務の基本。
・実務では、重要事項説明書のテンプレートにアスベストの記載欄が標準搭載されています。

■ 実務上の注意点
・取引対象の建物が平成16年10月以前に建築された場合は、「使用の可能性あり」と説明するのが原則。
・調査結果が無い場合でも、「アスベストが使われていない」と断定することはNG。
・解体やリフォーム時のコスト増加リスク、法令遵守義務を含めて説明。

■ 当社のスタンス
・売主・仲介会社ともに、「不明であることも含めて正確に説明すること」が基本姿勢です。
・将来的な解体費用、飛散防止措置の必要性、法令遵守リスクを「買主が将来困らないための説明」として明示しています。

■ 結論
不動産会社のアスベスト説明義務は、
「現状の使用状況の確認」+「解体・改修時の規制・費用負担の説明」の両面に及びます。
・「分からないなら説明しなくて良い」ではなく、「分からない事実を説明する」のが義務。
・こうした説明がなされていたかどうかが、瑕疵担保責任や説明義務違反の立証の主要ポイントになります。
司法書士の先生から|★★ 
Q.心理的瑕疵とは、何ですか?
▽ 回答 ▽
A.心理的瑕疵とは、その不動産に過去に発生した「人の死」や「事件・事故」などの事実が、購入希望者に対して精神的な抵抗感や嫌悪感を与え、取引価格や購買意欲に影響を与える要因のことを指します。

具体的には、以下のような事例が該当します。
・自死
・他殺(殺人事件)
・事故死(転落死、火災による死亡など)
・孤独死(死亡後の発見までの期間が長い場合)

■ 後見業務などの売却での注意点
成年被後見人の物件は、過去の入居状況や履歴が正確に把握できないケースが多いため、事前の確認が困難な場合があります。
瑕疵の有無が不明な場合は、「不明である」という事実を買主に適切に説明することが求められます。

■ 参考
実務上、心理的瑕疵に関する明確な法的定義はなく、最終的には個別事案ごとに判断されます。
説明義務の範囲は、社会通念や裁判例に基づき判断されています。


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C:売却形式に関する質問

弁護士の先生から|★★★★★ ⚠⚠⚠
Q.隣接者の方が購入したいと言われています。入札に参加できますか?
▽ 回答 ▽
A.はい、R-auction®(Web不動産入札)には隣接者の方も参加可能です。

ただし、士業が関与する売却物件は、一般的な売却と異なり、「契約不適合責任の免除」「ローン特約不可など、契約上の特殊性があるため、一般消費者(隣地所有者等)の入札参加には一定の条件と理解が必要です。

当社では、こうした取引のリスクと契約条件を十分ご理解いただいたうえで、トラブルを未然に防ぐためのフローを設けています。

■ 一般消費者(隣接者等)の入札参加に関する確認事項
1.初期対応
・隣接者から先生への直接連絡があった場合でも、当社が一元的に対応いたします。
・隣接者から当社へ直接連絡が入った場合は、先生に事前確認のうえ、詳細な対応を進めます。

2.ZOOM面談の実施
・入札前に必ずZOOM面談を行い、取引の特殊性とリスクを説明します。
・面談の結果、トラブルリスクが高いと判断した場合は、入札参加をお断りすることがあります。

3.内覧の必須化
・必ず室内確認(内覧)を行っていただきます。

4.入札実施と結果の取扱い
・入札結果は、非公開とします。
・落札された場合、LIVE開札の当日を契約日とします。

5.対面契約の実施
・契約は対面形式(持ち回り・電子契約は不可)とします。

■ 安心してご参加いただくために
隣接者の方がR-auction®に参加されることは、先生方が関与される不動産売却に求められる、「価格の妥当性」「手続きの透明性」「公正・公平な売却」という要件を十分に満たすものです。
一方で、当社では、通常の不動産売買とは異なる契約条件(契約不適合責任の免除・ローン特約不可など)を正確にご理解いただくことを前提に、円滑な合意形成が図れるよう進めております。
弁護士の先生から|★★
Q.日本レイズのR-auction®と他社の入札の違いは何ですか?
▽ 回答 ▽
A.まず前提として、入札形式そのものが「価格の妥当性」「手続きの透明性」「公正な売却」を備えた合理的な売却手法です。

R-auction®は、単なる「高値を競うための入札」ではなく、「売却価格の妥当性」「売却過程の透明性」「関係者の納得感」を第三者に説明できる仕組みが組み込まれています。

こうした設計思想があるからこそ、R-auction®は士業専門の不動産Web入札として、20年近く継続してご利用いただいている実績があります。

■ 他社の入札との主な違い
✔ 開札の透明性 → R-auction®はLIVE配信。他社は非公開。
✔ 開札結果の公開性 → R-auction®は全札公開。他社は非公開。
✔ 売買契約の計画性 → R-auction®は即日契約。他社は後日調整。

【R-auction®と他社の入札の比較表はこちら】(画像リンク)

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